早稲田大学企業年金裁判──「連絡会」運動とともに

 

*目  次

 

序論──本書の意図と構成……………………………………1 

 

1 企業年金の法規制と、それに反する受給額減額の動き 1

1) 企業年金制度と法律 1

2) 減額への動きの背景──新自由主義政策、民営化と規制緩和 2

3) 受給権を侵害する企業年金の一方的削減と裁判闘争 3

4) 早稲田大学における年金減額と裁判提起 4

5) 本件訴訟および本書における筆者の基本的立場 4

6) 企業の弱者への責任転嫁 5

2 声を上げる必要――本書の意図 6

3 各章の構成

1)第Ⅰ部 早稲田大学年金裁判 7

2)第Ⅱ部 企業年金の受給権を守る「連絡会」の運動 9

 

 

 

第Ⅰ部 早稲田大学企業年金裁判

 

1章 裁判の経緯……………………………………13

 

1 何が問題だったか 13

1) 改革案に対する申入れ 13

2) 大学の見解 13

3) その問題性 14

 

2 「年金問題を考える会」から「早大年金裁判の会」へ 15

1) 大学による受給者名簿の提供拒否 15

2) 訴訟提起の過程 16

 

3 一審裁判の完全勝利と、長くかかった控訴審 17

1)完全勝訴と大学の控訴 17

2)高裁の審理状況と最高裁での争い 17

〔資料1佐藤昭夫他9名「大学年金改革案に対する共同申入れ書」

03.9.12、甲108号証、乙55号証) 18

〔資料2共同申入れ書に対する大学回答03.10.22、甲9号証) 21

〔資料3「「抗議申入れ書」についての回答」04.1.23、甲110号証) 23

〔資料4「申入れについての回答」04.2.20、甲109号証) 24

〔資料5「『12月15日付け回答』に対する意見」03.12.19) 26

〔資料6受給者の意思確認のやり方等についての抗議申入れ04.5.24) 28

〔資料7訴 状(04.7.6) 30

〔資料8控訴断念を求める申し入れ書07.2.2) 35

 

 

2章 地裁審理の中間報告……………………………………37

 

まえがき 37

1 事件の概要 39

1 企業年金の種別と法的規制 39

2 早稲田大学年金規則 39

3 訴訟提起の経緯と大学の対応 40

 

2 裁判の争点 41

1 原告らの主張 41

2 被告の主張と、その不合理性 42

 

3 事件の問題点・課題 43

1 早稲田大学における良心の喪失 43

2 各私大、各企業における年金受給権をめぐる攻防 44

〔資料1「内田貴氏作成にかかる平成16年4月13日付け鑑定意見書」送付嘱託申立却下決定

(東京地方裁判所) 46

〔資料2早大年金裁判における現状報告および年金規則制定の歴史的背景──教員OBからの報告 48

1 「早大年金裁判」の現状 佐藤昭夫 48

2 「早稲田大学年金規則」制定の基底にあったもの 杉山晴康 55

資料3〕早大年金裁判に対する教員OBからの怒りのメッセージ 58

1 年金問題は労働条件であり団交事項である 安藤哲吉 58

2 早大年金裁判とは? 山田広明 59

3 OBからの怒りのメッセージ 62

 

 

3章 安藤哲吉氏の陳述書と東京地裁民事第4部(端 二三彦裁判長)

平成19年2007年)1月26日判決……………………………………67

 

1 概 説 67

1 大学側証人の証言 67

2 原告側安藤哲吉氏証言 67

3 原告第12(最終)準備書面 68

4 判決の判断 69

5 判決の残した問題 69

 

2 安藤哲吉氏の陳述書06.4.13、甲20号証) 71

1 経 歴 71

2 本件年金制度とのかかわり 71

1) 年金制度発足と過去勤務債務の負担 71

2) 年金制度への関与Ⅰ(教員組合第3期執行委員、(第1回)年金制度検討委員会委員、第1次および

3次年金ワーキンググループ教組側委員) 72

3) 年金制度への関与Ⅱ(教組年金専門委員、労働条件としての確認) 73

3 大学の違法な年金減額の強行 74

1) 大学当局の一方的減額説明 74

2) その後の経過 74

3) 年金減額の違法性 75

4 年金減額による結果の重大性 76

〔付〕履歴書 77

 

3 安藤哲吉氏陳述書(補充)06.10.13、甲31号証) 81

 

4 原告第12準備書面06.10.17) 92

1 本件年金契約の法的性格 92

1 原告の主張 92

2 被告早稲田大学の主張 95

2 被告による年金額一方的減額の無効性 97

3 教職両組合の同意ないし受給権者3分の2の同意の効力 99

4 捏造された「大学年金制度改革」の必要性 101

5 「大学年金制度改革の必要性」(大貫陳述書(乙58)第3項)に対する反論 107

6 破綻した被告早稲田大学の「本案前の抗弁」(権利能力なき財団論の欺瞞性) 110

7 結 語 119

 

5 東京地裁民事第4部(端 二三彦裁判長)平成19年2007年)1月26日判決 120

主 文 120

事実及び理由 120

1 請 求 120

2 事実の概要 121

1 前提となる事実(いずれも争いがない。) 121

(1) 当事者 121

(2) 被告の年金制度 121

(3) 本件改訂前の年金額 123

(4) 本件年金規則の改定 124

2 争 点 124

3 争点についての当事者の主張 125

1) 争点(1)(本件確認請求についての被告適格)について 125

2) 争点(2)(本件改訂の効力)について 129

3 争点に対する判断 134

1 争点(1) (本件確認請求についての被告適格)について 134

2 争点(2) (本件改訂の効力)について 136

4 結 語 142

(別紙) 当事者目録 142

 

 

4章 控訴審での久保木清三氏意見書と東京高裁第19民事部(青栁馨裁判長)平成21年2009年)10月29日判決…………………………………145

 

1 概 説 145

〔資料〕 早稲田大学総長白井克彦陳述書09.5.18、乙178号証) 149

 

2 控訴審における久保木清三氏意見書09.3.2、甲100号証) 152

(はじめに) 152

1 大学年金は労使交渉の結果にもとづく労働条件 154

2 年金受給者の年金は本人が同意したとき以外は減額できない 155

3 大学年金の財政方式について 157

4 大学は過去勤務債務償却のための掛金拠出義務を果たしていない 158

5 「処理方法の定まっている不足責任準備金」評価額の変更は重要なポイントである。(1999年の財政再

計算報告書の「不正」操作について) 158

6 乙139号証財政再計算報告書における脱退率等の取扱いについて 160

7 二つの財政再計算報告書をめぐる大学の混乱 161

8 大学年金の長期シミュレーション(乙60~61号)の問題点 162

9 年金資産の運用結果について 163

10 まとめ 165

 

3 被控訴人準備書面(10) 167

1 乙60号のシミュレーションは何を示しているか 167

1 乙60号の①②案は、2018年に年金資産がゼロになるような前提を置いて作られたものであり、

給付額減額をしないと現実にそうなるということではない 167

2 大学の「過去勤務債務」の存在と、その不履行の結果(不足責任準備金の累増と永久償却) 169

3 大学の責任である「処理方法の定まっている不足責任準備金」の計算除外(年金規則で拠出の定

まっていた「大学責任金額の受給者・加入者への転嫁」その1) 170

2 乙139号の恣意性 171

1 2つの財政再計算報告書 171

2 乙139の「計算の前提」の不合理性 172

3 「永久償却」(償却先送り)から「有期償却」30年で償却打切り)への変更(先送りしていた「大学

責任金額の受給者・加入者への転嫁」、その2) 172

3 給付建て年金制度における受給権の保障 174

1 退職年金制度に関する法の規制 174

2 特別法の規制を受けない自社年金制度の場合 175

4 本件における年金削減の違法性 176

1 年金給付を約した契約の履行義務違反 176

2 大学のとった減額手続と禁反言 177

3 本件年金削減の実質的不当性 177

5 結 語 178

 

4 被控訴人準備書面(11) 180

はじめに――争点と本準備書面の内容 180

1 受給額の減額を可能とする法的根拠はなく、被控訴人の同意なしの減額は

契約違反である 181

1 減額の法的根拠は存在しない 181

2 一方的減額は、控訴人の契約違反である 181

2 実質的にも減額の必要性・相当性は存在しない 183

1 控訴人が減額の必要性・相当性の根拠とする長期シミュレーション(60,61)は、何ら減額の

必要性を示すものではない 183

2 減額の相当性も存在しない 183

結 び 184

 

5 被控訴人準備書面(12) 186

1 控訴人が「本件で参考すべき裁判例」とする点について 186

2 控訴人が「本件で参考とならない裁判例」とする点について 187

 

6 被控訴人準備書面(13) 190

1 年金給付額減額の根拠 190

1 控訴人の主張の要約 190

2 控訴人主張の誤り 191

2 本件年金制度が、退職金ではなく恩恵的給付だとする主張について 192

3 個別の同意なしの年金制度の変更に関する主張について 194

4 減額の必要性・相当性に関する主張について 196

結 び 199

 

7 東京高裁第19民事部青栁馨裁判長)平成21年2009年)10月29日判決 200

主 文 200

事実及び理由 200

1 当事者の求めた裁判 200

(控訴事件)200/(附帯控訴事件)201

2 事実の概要 202

1 前提となる事実

1)当事者/(2)本件年金制度の目的及び沿革/(3)本件年金の原資及びその管理に関する本件年金規則の

定め/(4)本件年金契約の内容及び被控訴人らに支給されていた年金の金額/(5)年金改定に関する本件年金

規則の定め/(6)本件年金規則の改定/(7)本件年金の減額請求/(8)予定利率等の引き下げ及び拠出金の

追加措置

2 争 点 206

(控訴人の主張)206/(被控訴人らの主張)223

3 当裁判所の判断 231

1 認定事実 231

(1)本件年金制度の沿革、概要、制度内容の変遷及び運営状況/(2)本件年金制度の将来予測/(3)本件年金制度改革の実施後の状況

2 個別の同意を得ないで本件年金契約の内容を変更することの可否 242

(1)本件年金契約の性格/(2)本件年金規則改正による給付額減額の可否

3 本件改訂の必要性について 246

4 本件改訂の内容の相当性 250

5 本件改訂の手続の相当性 253

6 給与額の減額は有効 256

7 結 語 257

(別紙) 当事者目録 257

(別紙) 計算案の前提となる予定利率等 258

 

8 逆転高裁判決の異常性――青栁判決批判 259

1 はじめに 259

2 契約で、債務者による債務内容の変更を認められるのか 260

3 確定給付型、事前積立方式の年金制度設計と責任準備金――減額の必要性について 263

4 削減は何を目的としたか――減額の相当性について 266

5 大学の主張の変転――手続の相当性について 268

6 結 語 270

 

 

5章 最高裁での争い……………………………………273

 

はじめに 273

 

1 上告理由書 274

はじめに 275

1 本件の概要 282

1 本件年金受給額変更及び本件訴訟の経緯 282

2 本件年金制度の構造 282

3 確定給付企業年金法の立法趣旨を否定する原判決 284

4 団体交渉権保障(憲法28条)を無視し、契約法の基本原理を否定する原判決 285

2 原判決の要旨 286

3 原判決には、以下のように憲法違反または憲法解釈の誤りがある(民訴法312条1項) 287

1 憲法28条の団体交渉権保障違反 287

2 憲法29条の財産権の侵害 287

4 原判決には、判決に理由を付せず、又は理由に齟齬(食い違い)がある(同条2項6号) 288

1 本件年金契約の解釈の誤り 288

1)本件年金契約には減額に関する合意を含むとする意思解釈の誤り/(2)本件年金基金に被上告人が資金

を繰り入れる義務がないとする解釈の誤り

2 被控訴人らが受給者となってからも、本件年金規則による規律を受ける立場にあるとする判断に

ついて(減額の法的根拠Ⅰ) 293

3 年金規則28条の「調整」規定によって、年金支給額を被上告人が一方的に減額できるとする

判断について(減額の法的根拠Ⅱ) 294

4 年金規則28条の「調整」の趣旨に関する判断について 295

5 減額の必要性の判断について 296

1)はじめに/(2)原判決が指摘する「改訂の必要性」の前提となる事実の誤認/(3)住友信託銀行の

将来予測(シミュレーション)の虚構性/(4)積立比率、積立不足、不足責任準備金の計算方法の誤り/

5)いわゆる二重帳簿(二つの財政再計算報告書)による積立不足の水増し/(6)被上告人が過去勤務

債務の繰入れを実質的に行っているとの評価の誤り

6 減額の内容の相当性の判断について 317

1)はじめに/(2)積立比率の目標値を80%としたこと/(3)「負担の公平がはかられている」という

評価について/(4)基礎数値の選択に恣意が認められないという認定について/(5)国民年金等に比べて

相当水準の年金が確保されているという評価について

7 年金減額の手続の相当性について 323

5 結 語 328

 

2 上告受理申立理由書 329

はじめに<略> 330

1 本件の概要<略> 330

1 本件年金受給額変更及び本件訴訟の経緯<略> 330

2 本件年金制度の構造<略> 330

3 確定給付企業年金法の趣旨を否定する原判決<略、以上は上告理由書と同じ> 330

4 多くの判例違反、法律解釈の誤りを重ね、年金受給権を否定した原判決 330

2 原判決の要旨<略> 331

3 判例違反(民訴法318条1項) 331

1 年金契約の性格 331

シンガー・ソーイング・メシーンカムパニー事件最高裁判決(最判昭48.1.19、民集27-1-27)違反

2 年金規則改正による給付減額の可否 331

港湾労働安定協会事件決定(大阪高裁2006〈平成18〉.7.13判決<甲98>、最高裁2008〈平成20〉.

10.10決定<甲111>で確定)違反 331

3 同 上 332

就業規則による労働条件不利益変更事件最高裁判決(秋北バス事件、最大判1968〈昭43〉.12.25、

民集2-13-3459、ほか)違反

4 同 上 333

ゴルフクラブ預託金返還請求事件最高裁判決(最判1986〈昭61〉.9.11、判時1214-68)違反

4 法律の解釈に関する重要な事項の誤り(民訴法同条同項) 333

1 労働基準法11条の「賃金」の解釈、及び同法24条1項の解釈の誤り 334

2 労働基準法92条1項の解釈の誤り 335

3 労働基準法2条1項、労働契約法3条1項、消費者契約法10条の解釈の誤り 335

4 労働基準法1条1項の解釈の誤り 336

5 労働組合法16条の解釈の誤り 336

6 民法90条の解釈の誤り 336

7 弁論主義違反(相手方の主張しない事実の採用) 336

8 民法689条(終身定期金契約)の解釈の誤り 339

9 上記法律解釈事項の重要性 346

5 結 語 347

 

 3 上告人の上申書

1 岩田 利夫 348

2 榎本 隆司 349

3 小野裕二郎 351

4 杉山 晴康 353

5 高橋  啓 355

6 馬場三枝子 356

7 山田 廣明 357

 

4 控訴審判決に関する久保木清三意見書10.3.8) 361

はじめに 361

1 「個別の同意を得ないで本件年金契約の内容を変更することの可否」についての原判決の誤り

(大学年金の性格に関連して) 361

2 「2の(2)本件年金規則改正による給付額減額の可否」についての原判決の誤り 364

3 「本件改定の必要性」について 368

4 「本件改訂の手続の相当性」について 371

まとめ 372

略 歴 373

 

5 上告受理申立理由書(補充) 374

 

6 上申書―─最近の最高裁二判決(もみじ銀行事件,NTTグループ事件)に関連して 376

 

 

6章 早大年金裁判を振り返って……………………………………383

 

1 給付額減額を強行した早稲田大学理事会 383

2 訴訟に対する態度 383

3 恣意的なシミュレーション 384

4 権力を恃む大学 385

5 自浄作用としての裁判闘争 385

 

 

Ⅱ部 企業年金受給権の法理と「連絡会」の運動

 

はじめに 389

 

7章 企業年金受給権の法理論と裁判……………………………………391

 

1 企業年金受給権の根拠 391

1) 公的年金制度と私的年金制度(契約を基礎とする年金) 391

2) 自社年金、税制適格年金、確定給付企業年金および厚生年金基金年金(受給権と法規制) 391

3) 受給権における共通点 392

〔付〕関連裁判年表 393

 

2 自社年金について 394

1) 自社年金とは 394

2) 民法による契約関係 394

3) これまでの裁判例 395

①幸福銀行事件/②港湾労働安定協会事件/③松下電器福祉年金事件/④もみじ銀行事件

4) 大学年金の場合 397

 

3 税制適格年金および確定給付企業年金について 400

1) 法規制と受給権 400

2) 税制適格年金――NTTグループ、TBS(東京放送)の場合 400

 

4 厚生年金基金年金について 402

1)厚生年金基金年金とは 402

2)厚生年金基金年金の減額――りそな銀行の例 403

 

5 企業年金減額の動きにどう対処するか 405

1) 違法な減額の阻止 405

2) 在職者との連携 405

3) 裁判闘争について 406

4) 受給権保護の制度化 409

5) 「支払保証制度」実現に向けての運動 409

参照条文〕受給権問題の関連規定 411

〔付論1松下電器産業年金裁判(第2次)控訴審(大坂高裁第2民事部・成田喜達裁判長)

09〈平成21〉.1.29判決批判 415

〔付論2りそな銀行事件に関する最高裁への要請書 419

 

 

8章 企業年金の受給権を守る連絡会関連資料………………………………423

 

まえがき 423

1 集会アピール 425

1) 「減額されようとする企業年金―受給者の権利はどうなる」05.2.27集会アピール) 425

2) 「企業年金」受給者減額は許されるのか――受給権保護と支払保証制度法制化の実現を

10.5.29集会アピール) 426

 

2 厚生労働大臣への要請書 428

1) 川崎厚生労働大臣要請06.4.25) 428

2) 舛添厚生労働大臣要請08.6.9) 431

3) 長妻厚生労働大臣要請2010.2.17) 434

 

3 企業年金減額についての各政党への公開質問状とその回答 439

1) 2005年9月2日の公開質問状と回答 439

2) 2009年5月10日の公開質問状と回答 442

一覧表 企業年金減額問題に対する公開質問状(2009/5/10)と各政党の回答(到着順) 444

 

4 最高裁への要請 448

1) りそな銀行事件に関する要請(企業年金の受給権を守る連絡会)(09.9.29) 447

2) 年金裁判に関する要請(佐藤昭夫10.2.24) 450

 

あとがき 453

判例索引 455


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